難問ぞろいの算術対決 #3


 原典が特定できた。説明の必要はない。ちゃんと書いてある。読み給へ。
miyazawa



 以下新渡戸広明翻刻(乞誤謬指摘)
文政十一年戊子【1828】二月
武州阿佐个谷神明宮所掲者一事
【図省略】
今有如圖互錯大圓二個畫平方
形容側圓一個及甲圓六個(二個容側
圓内)乙圓二個只云大圓徑(二段)甲圓
徑(六段)乙圓徑(二段)方靣側圓長徑相
併一百四十九寸問側圓短徑幾
何

 答曰短徑九寸有奇

術曰置二百七十三個八分平方開之以除相併數
得側圓短徑合問

 關流六傳馬塲小太郎正統門人
   東都市个谷本村住
       十三歳童
         宮澤新太郎種秀
 「祠刹匾掲算法(しさつへんけいさんぽう)第2巻」 に載ってるよ。Google eブックスで観られます。
 祠刹匾掲算法, 第1巻 (Google eブックス)Link
 祠刹匾掲算法, 第2巻 (Google eブックス)Link

 一方、Hiroさんの問題の提示は、
⑤算術対決の3問目は図の大中小10個の円の直径の和が149寸のとき、
中央の側円(楕円)の短径を求める問題。
 そして、なおさんの問題の提示は、
全ての円の直径を足して149寸の時の側円(楕円)の短径を求めよ。
 双方、「方面」と「楕円長径」が不足している。
 それはさておき、早速、原典の条件で計算、作図すると、
NONALNUM-gq_jg6rjg4Pjg5fjg5zjg7zjg4kwNQ-E


NONALNUM-gq_jg6rjg4Pjg5fjg5zjg7zjg4kwNg-E



「九寸有奇(きゅうすんあまりわずか)」

 番組上ではどうか?例の韓国のサイトと思しきpandora.tvで再確認。まずは、台詞。
「大円の直径が二つ、甲円の直径が六つ、乙円の直径が二つ、
全ての合計が149寸の時、この側円の短径の長さを求めるということだ。」
画像はないよ。勘弁してね。
「方面」と「側円長径」が欠落しているなぁ。
一方、小道具の問題用紙はどうだろう?
NONALNUM-gq_jg6rjg4Pjg5fjg5zjg7zjg4kwMDI-E



今有如圖互錯大圓二個畫平方
形容側圓一個及甲圓六個(二個容側
 圓内)乙圓二個只云大圓徑(二段)甲圓徑
(六段)乙圓徑(二段)方靣側圓長徑相併
一百四十九寸

問側圓短徑幾何
と、推察できる。改行位置は違うが、原典と同様の様だ。「方靣側圓」が確認できることがポイントだ。

 んん。微妙。曖昧。これでは、「Hiroさん」や「なおさん」のような捉え方をされてもしょうがない。というか、そう解釈するのが普通だ。放送時に小道具の文面まで確認することは不可能だ。こういう曖昧さを排除するのも監修の先生方のお仕事だと思いますが、いかがでしょうか?

 それにしても、原典が十三歳の少年のものだったとは驚き。おじ(い)さん達をさんざん手玉に取ってくれましたなぁ。
 条件149は、148の方が各図形整数になり綺麗なのだが、計算を錯乱させるための+1なのだろう。答えも「九寸ちょっと足らず」では締まらないしね。原典の解法は、たぶん、円筒を斜め切りにして楕円を求める手法だと思うが、当方和算研究家ではなく、職域妨害も申し訳けないので、解説はその筋の方々にお任せします。

これにて一件落着。と、勝手に幕引きをする。以上。おしまい。

2012/01/15追記:Hiroさんが発見した、原典が掲載されている書籍。

おお!平成和算界の大御所の本だ。


— posted by nitobe at 02:00 pm   commentComment [4] 

難問ぞろいの算術対決 #2

件の問題の出典を確認。
komon


まずは、水戸黄門第43部第19話「難問ぞろいの算術対決」(2011/11/28放送)の確認。TBSの公式サイトはこちらLink 。youtubeは著作権者の要請により、視聴不能。他をあたる。あえてリンクは貼らないが、韓国のサイトと思しきpandora.tvで全編視聴。なぜか「水戸黄門 第43部 (미토고몬 제43부) 第18話」となっている。

あぁ、誤答が「八寸」で、正答はしっかり「九寸有奇」ですね。「協力」が「和算研究所」であることをクレジットロールで確認。

更に、その出典を確認。
和算の館Link 」(小寺裕先生)で、算額を片っ端から見て回ったが、該当するものは見当たらなかった(見落としの可能性あり)。が、小寺先生の別宅「和算なう!Link 」のアイコンそのものじゃぁないですか。(下記言及サイト参照)twitterにも別宅「@koyagenLink 」をお持ちのようだ。「和算なう!」の記述によると、小寺先生もこの作品の監修に一枚かんでいるらしい。更に、映画「天地明察」にも関係しているようだ。謹んで小寺先生のご安泰をお祈り申し上げます。

あとは、江戸~明治の算法書か?ということで、拙宅架蔵の「算法新書」や「算法通書」を当たってみたが見つからず。結局、2011/01/13現在、この問題の原典を確認できていない。色使いは、MicrosoftOffice系統っぽいんだよなぁ。

この作品は、2011/03/14に放送予定だったらしいが、3.11で飛んだもののようだ。製作費の支払いがあるから、放映は時間の問題だったろうことは容易に想像できる。SNSの世論云々という次元の話ではない。「和算研究所」や「小寺裕先生」にとっては、お蔵入りになってしまっていた方が幸せだったかもしれない。すでに違法動画サイトに増殖中で、いつでも確認可能になっており、そのうちDVDLink まで出ちゃいますもんね。第十三部までで¥394,800-!四十三部までトータルすると幾らになるんだろう?恐ろしい。

それにしても・・・まさか釣られてるんじゃあるまいな。

この問題に言及しているサイト:
2011年11月29日 水戸黄門に出てきた和算の問題Link  「お気に入り」(なおさん)

「全ての円の直径を足して149寸の時の側円(楕円)の短径を求めよ。」

— posted by nitobe at 07:25 pm   commentComment [0] 

水戸黄門「難問ぞろいの算術対決」


別宅の更に別宅、I hate MICROSOFTLink に、コメントの書き込みがあった。ここは、放置プレイなので、めったにメンテナンスしない。正月明けに発見した。全文をここに転載する。
水戸黄門「難問ぞろいの算術対決」 (Hiro)
2011-12-27 10:11:28
初めまして。Hiroと申します。『天地明察』の問題について詳しく書かれていたので、
この問題も考えていただけないかと思い、投稿させていただきました。
水戸黄門第43部第19話「難問ぞろいの算術対決」の第3問を解いてみたところ、
放送された解答と異なるのですっきりしていません。
一度考えてみていただけないでしょうか。
問題はこちらです。
http://hb1104.blogspot.com/2011/12/blog-post.htmlLink 
よろしくお願いします。

NONALNUM-gq_jg6rjg4Pjg5fjg5zjg7zjg4kwMQ-E
クリックすると拡大します

水戸黄門なんぞ最近見たこともないので、当然知る由もない。冲方某の「天地ほにゃらら」にいちゃもんをつけていたころは、暇を持て余していたが、最近は貧乏暇なしでなかなか時間が取れない。(おっ!嫌われる忙しい自慢!)Hiroさんの成果を拝借して、ちゃちゃっと作図(お手軽にPowerPointで)、計算(Excelにやらせただけ)をしてみた。

NONALNUM-gq_jg6rjg4Pjg5fjg5zjg7zjg4kwMg-E
クリックすると拡大します


404 File Not Found

乙円1の時の楕円短径1.79は、かなりざっくりとした数値だ。実は、鍋CADでも作図していて、その時は乙円20で作図しており、計測の結果、楕円短径35.8という値を得ており、それを1/20しただけだ。

当方の見解:「十二寸有奇(じゅうにすんあまりわずか)」ということにしておきます。

自信ない。あまりあてにしないでね。


2012/01/12追記:
NONALNUM-gq_jg6rjg4Pjg5fjg5zjg7zjg4kwNA-E
クリックすると拡大します

鍋CADを使って、乙円10で作図、直径合計216と条件149との比率0.6898148148を偽尺倍率として寸法を入れたバージョン。

それにしても不自然な問題だなぁ。答えが整数ではないのはいいとして、問題を整数比で出題できるのに、条件149が台無しにしている。美しくないなぁ。  図形は美しいのになぁ。

— posted by nitobe at 10:43 pm   commentComment [0] 

Amazonアソシエイト テストその2





— posted by nitobe at 06:57 pm   commentComment [0] 

プロテウス・オペレーション


1987年10月刊行の単行本上下を読んでいるはず・・・だが、定かではない。最近アルツなもんで、既に忘却の彼方。686ページもあるから、暫くは楽しめるだろう。J.P.ホーガンの歴史改変小説だもんね。冲方某も「天地ほにゃらら」で、このくらい改変すればよかったのに。

amazon、ジャンル・カテゴリー間違えてるぞ!文庫。

— posted by nitobe at 12:12 am   commentComment [0] 

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